木質バイオマス
2006.12.17〜
その2

7.

■背  景


1.多可町加美区(旧加美町)の林業の概要 

 多可町加美区(旧加美町)は、兵庫県の中央部に位置する中山間地域であり、区域の約85%(7,133ha)を森林が占めている。その内の約75%は、杉・桧の人工林(5,368ha)であり、除間伐等の保育施業が必要な若い林分が約4割を占めている。昨今の木材市場の低迷は、林業経営に暗い影を落としており、後継者不足と相まって、林地の継続的且つ適切な維持管理が極めて困難な現状にある。


2.間伐材の利活用策の検討

  そうした中、間伐材のダンネージ材(船荷用緩衝材)など付加価値による他用途利用の模索と、「間伐材搬出助成事業」(H12〜)を立上げ、間伐の促進を支援してきたが、これらは必要適正間伐量(1,200m3)の1/4程度の効果しかなく、新たな手立てを求める声が日増しに大きくなった。
  他用途を模索するなか視点を変え、除間伐材等をエネルギー資源と捉えることにより新たな展望が開けた。これらを木質バイオマスエネルギー資源と位置付け、積極的に利活用しようとうもので、地域内でのエネルギー生産・消費体制の確立による、資源循環型社会の構築を目指すものとなった。先ずその第一歩として「木質バイオマスエネルギー利用促進事業」に取り組んだ。



■事業の概要


  「木質バイオマスエネルギー利用促進事業」は林野庁の補助事業で、木質バイオマスエネルギーの供給施設と利用施設を整備するものである。

1.供給施設の概要

供給施設では、地域内で発生した価値の低い除間伐材、風倒木及び製材所等から出る端材・背材を原料に、一次破砕機にて木質燃料(生チップ)を生産する。
生産の過程で生じたオーバーサイズやアンダーサイズは、振動式スクリーンにて選別され、二次破砕機に投入される。二次破砕機はさらに細かく粉砕し、おが粉を生産する。
また、剪定枝等の直接投入ができ、利用可能な木質資源の幅を広げている。

2.利用施設の概要

利用施設の整備は、町立青年の家(エコミール加美)と町立温水プールの2箇所で、共に生チップ焚き温水機(バックアップ設備有)を導入する。その2箇所の内、エコミール加美は既に導入し、稼動している(平成18年11月10日現在)。町立温泉プールについては、今年度の導入予定である。
これらの施設は、区域内外からの利用者・来訪者が多く木質バイオマスエネルギーを基幹としたエネルギー循環型社会の構築への啓蒙・啓発の場に最も適していると考えられ、導入先に選択した。
特に町立青年の家は、夏季から秋季にかけて自然学校の利用が多く、プログラムの一環として林業体験を導入し、好評を得ている。林業体験では、伐倒・チェーンソーによる丸太の輪切り、可搬式チッパーによるチップ造りが体験出来る。
  利用施設運転に伴う木質燃料は、供給施設が完成し、試運転後、速やかに供給を開始した(運営:北はりま森林組合)。供給施設稼働までは、近隣のチップ業者からの燃料を購入していた。


■整備内容

1)木質バイオマスエネルギー利用施設・・・2箇所

○町立青年の家(エコミール加美)、林業者休養施設への給湯設備の整備(H16)

  生チップ焚きボイラー240kw(206,400kcal/h)、バックアップボイラー186kw(160,000kcal/h)

概    要
導入ボイラー : 生チップボイラー シュミット社(スイス製)
規模及び価格: 出力240kw、約3,600万円(建物・サイロ含)

含水率60%(WET BASE):(DRY BASE150%)まで可能


設      置: 平成17年 3月末日
稼      動: 平成17年10月から(サイロ不具合につき一時稼動を休止する→H18.3改良)

用      途: エコミール加美(青年の家)の給湯(大浴場、レストラン厨房)

林業者休養施設の給湯(大浴場)
ピ ー ク 時 : エコミール加美は、6月〜10月にかけて自然学校・林間学校等の利用が多い。また、夏休み期間は利用客も多く年間を通じて最大の負荷がかかる。
チップ消費量: 1日あたりの平均消費量約1.5m3
問  題  点: 長期間運転(約半年)を休止し、チップをサイロ(RC造)内に保管しておくと含水率が異様に高く(含水率66%以上:DRY BASE150%以上)なる。
        
     →不完全燃焼(煙の発生、悪臭)
→廃棄物がボイラーの仕様以上に発生(タール等)
→ボイラー及び煙突内に煤・タール等が付着(想定以上)
       
  〔原因〕 ・サイロが内と外の温度差により結露が発生。
・発酵が進みチップが熱を持ちサイロ内に水分が充満する。
・低負荷時は「種火モード」での運転となるが、缶水温度が設定以上となり自動停止してしまう。

  

○町立温水プールへの給湯、冷暖房設備の整備(H17〜:現在整備中)
    生チップ焚き温水機240kw(H16導入ボイラーと同等以上のもの)、バックアップボイラー430kw、吸収冷凍機

チップ消費量: 1日あたりの平均消費量約3.0m3
能  力  等: 含水率60%(DRY BASE150%まで)まで可能

前年度の整備内容を踏まえ、不都合のある箇所は設計を見直し事業を進めている。



2)木質バイオマスエネルギー供給施設・・・1箇所(H18.10〜:試験運転中)
 ・木質燃料製造施設の新設
  チッパーシュレッダー(一次破砕)、カッターミル(二次破砕)、振動スクリーン、搬送装置など

1日平均処理量: 約10.0t
一次破砕機(チッパーシュレッダー) 切削チップを生産(チップ市場での価値が破砕型チップに比べ高いから)
対象処理材: 間伐材(針葉樹)、風倒木、製材端材・背材など
対象処理径: 最大30cmまで
対象処理長: 4mまで
投入方式: 水平投入式
二次破砕機(カッターミル) ロータリー2本タイプ
   スクリーン径6mm横方向差込式(ステンレスパンチングメタル製)
   ホッパー付、自動付加制御により無人運転可能
振動スクリーン 横振動方式、カム式
   網目寸法:上部40mm 、下部6mm
   有効面積:W1000×L3000
その他の設備 チップヤード  2箇所
   家畜敷料ヤード 1箇所
   燃料配送車(チップダンプ)3.5t 導入済み
   グラップル付油圧ショベル      導入済み
   フォークリフト 3.0t         導入済み


   
3)生産品について
 生チップ                 おが粉    

 チップについては、10月から試験的に生産し利用施設に供給している。他用途転用も模索しており町内道路工事などで植栽時の草抑え利用を検討中である。おが粉の利用については、家畜の敷料への利用等検討中である。(近隣畜産家などに営業を行っている)。
 平成19年より町内の畜産農家と話がまとまっている。


8. 木質チップを製造する施設の概要について情報を入手したので記載します。

〔供給施設〕
一次破砕機(チッパーシュレッダー) 90kw
二次破砕機(カッターミル) 22kw X 2
振動スクリーン

1日最大供給量 20.0t/日

〔利用施設:エコミール加美〕
生チップボイラー 240kw バックアップボイラー186kw

〔利用施設:温水プール〕
生チップボイラー 240kw バックアップボイラー430kw


9. 各施設の写真です。施設の平面図はここにおいています。


搬入部分です。図面の1−3になります。




少しぶれていますが、1次破砕機部分です。図面では1-1になります。


振動スクリーンです。ここで規格に合った物が振るい落とされます。
規格に合わなかったものが2次粉砕機に向かいます。
図面では、3-1になります。


サイロに向かって運ばれます。図面の3-3です。




2次破砕機です。
したの写真は内部の写真です。
図面では、2-1になります。



チップのサイロです。


2次破砕機から出た、おが粉のサイロです。

エコミール加美のチップボイラーです。


ボイラー室外観です。


ボイラーの仕様です(少しぶれています)


ボイラーです。


チップ投入サイロです。